ガラムマサラやってっから

NEWSさんのラジオやテレビのざっくりまとめ中心のブログです。

2022/09/27 アフター6ジャンクション | TBSラジオ

radiko.jp

 


(宇多丸)時刻は6時30分になりました。

9月27日火曜日TBSラジオをキーステーションにお送りしてるアフター6ジャンクション。パーソナリティの私RHYMESTER宇多丸です。

(宇垣) そして、火曜パートナーの宇垣美里です。ここからはカルチャー界の気になる人・もの・動きを紹介するカルチャートーク

(宇多丸)今夜のゲストはNEWSのメンバーで作家の加藤シゲアキさんです。いらっしゃいませ。

(加藤)よろしくお願いしまーす!

(宇多丸)よいしょー!

(宇垣)よろしくお願いします!

(加藤)いやーまた呼んでください!ってこないだ3ヶ月くらい前に言ったときに本当に呼んでくれるとは

(宇多丸)もーだって思うだってそんなね、社交辞令で言ったこと、もうこっちはもう全面的に利用してきますから、

(宇垣)言質を取ってますんで

(宇多丸)こう言ってますよね?言ってますよね?なんつってねえ。

(宇垣)聞いたぞ!聞いたぞって

(加藤)嬉しかったです。でも呼んでいただいて。

(宇多丸)いや、お越しいただいて本当に光栄でございます。改めまして加藤シゲアキさんのご紹介しておきましょう。

(宇垣)はい、1987年生まれ、大阪府のご出身です。アイドルグループNEWSのメンバーとして活動しながら、2012年に「ピンクとグレー」で小説家デビュー。その後、「閃光スクランブル」「Burn」「傘をもたない蟻たちは」「チュベローズで待ってる」とヒット作を出し続け、2021年「オルタネート」で吉川英治文学新人賞を受賞、その後本屋大賞直木賞の候補となり話題を呼びました。そして作家生活10周年を記念した書籍「1と0と加藤シゲアキ」が、今週金曜日9月30日にKADOKAWAより発売されます。


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(加藤)ありがとうございます。

 

タイトルについて

(宇多丸)10周年記念で1と0なんですね。

(加藤)そうなんです。はい。

(宇多丸)ちょっと変わった表現というかね、

(加藤)そうですね、でもなんか10周年ともちろん係ってるんですけど、この1と0みたいな、0から1を生み出すっていう言葉もありますし、何かこう二元論みたいなことになりがちな時代じゃないすか。だから、こうアップデートしたくて、1と0がこう、重なってるような状態。量子コンピュータの考え方っていうか、

(宇多丸)デジタルで1か0かって思われるけど、

(加藤)そうなんですよ。っていうものじゃなくて、1と0が常に同居している、1が0であり0が1であるみたいな、ちょっと考え方に全体を持っていきたくて、僕自身が、言うと生意気ですけど、アイドルと作家とか言われますけれども、どっちも別に一つにあるっていうことがあって、10周年ということもあるしこのタイトルしかないのではという。ところところから、この二元論をアップデートする気持ちでつけたタイトルだったんですよね。

(宇多丸)こうなるとでもね20年経ったときはね、どういう理屈で2と0って言えばいいんだっていうね、

(加藤)そうっすね、考えなきゃですね(笑)

(宇多丸)先に考えておく必要があるけど。いやいや、でもすごくかっこいいし。加藤さんらしい感じだと思います。いうことで改めてですが今夜はどんなお話を聞かせてくださるんでしょうか?

(加藤)はい。私が原作脚本監督主演を担当しましたショートフィルム、「渋谷と1と0と」についてお話します。

(宇多丸)ついに映画撮っちゃった、よ!

(宇垣)よ!

 


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(宇垣)生放送でお送りしています、アフター6ジャンクション。今夜はゲストにNEWSのメンバーで作家の加藤シゲアキさんをお迎えしております。

(加藤)よろしくお願いしまーす。

(宇多丸)はい、ということでまずちょっとウェルカムメールちょっとこれ読むかな。じゅんこさんからいただいてるんですけど。ええ。宇多丸さん宇垣さんそして加藤シゲアキさんこんばんは。9月30日に加藤シゲアキさんが作家10周年を記念する「1と0と加藤シゲアキ」が発売されるにあたり、アトロクへの出演をぜひぜひと熱望しておりました。

元々タマフルリスナー(私が前やってたね、ウィークエンドシャッフル*1リスナー)だった私が処女作「ピンクとグレー」の話題でゲスト出演された加藤さんが気になり翌日に書店へ駆け込んだことがつい昨日のことのようです。

(加藤)あら、ありがとうございます。

(宇多丸)そこから10年。アイドルと作家の両立は並々ならない苦労や努力があったことかと思います。ここまで書き続けてくれて、常に私達に新しい世界を見せて驚かせてくれたり、感激させてくれたりする加藤さんに感謝しかありません。そしてこれからも素敵な景色を見せてください。今回はお1人でたくさんのことに挑戦され、まさにこの番組にふさわしいカルチャーの宝庫のような加藤さんの作品の、(今回のね、あのショートフィルム含めて、)編集や撮影の話を伺えたら嬉しいです。加藤さんにおかれましては、ライブツアーも現在進行形。朝晩の気温差も大きくなってきましたのでどうかお体ご自愛ください。

(加藤)ありがとうございます。

(宇多丸)すごいですね10年前、

(加藤)はい、この前進の番組タマフルをきっかけにという、

(宇多丸)このスタジオでね、お越しいただいて、まさにここだもんね

(加藤)確かに

(宇多丸)こんな方が。嬉しいですね。

(加藤)嬉しいです、すごく。

(宇多丸)しかも継続してその加藤さんのその作家生活の、まさに1と0が重なるような

活動ってめちゃくちゃなんていうの、メールの中ですごく丁寧に見てる人がいるなと思って

(加藤)やってきた甲斐があります。はい。

(宇多丸)僕も嬉しくなっちゃうようなねメールでしたけど、ってことで、今回、ショートフィルム。

(加藤)はい

(宇多丸)いよいよ、映画とちゃったかということで、

(加藤)まあ、映画と言えるほどのものではないんですけどね。

(宇多丸)いやいや、何をおっしゃいます。かっこよかったすごい。

(加藤)ありがとうございます。

(宇多丸)「渋谷と1と0と」のお話を伺う前に、まずどんな作品なのか概要を宇垣さんからお願いします。

(宇垣)「渋谷と1と0と」は作家生活10周年を記念した単行本、「1と0と加藤シゲアキ」の企画として加藤さんが原作・脚本・監督・主演を担当したショートフィルム。9月23日にYouTube_KADOKAWAオフィシャルチャンネルにて全編公開されました。あらすじは、渋谷の街をさまよいながら、自作の構想を練る小説家。おしぼりやタオルなどをクリーニングそしてレンタルする小さなリネンサプライ会社で働く男。2人の男の世界はやがて1つの物語へと繋がってゆく。加藤さんは小説家とリネンサプライの会社で働く男の1人を2役演じてらっしゃるということですね。

(宇多丸)だから演じてるのも2役だし、脚本書いて監督してさらにそれの小説版も書きみたいな。

(加藤)そうです

(宇垣)忙しい

(宇多丸)それが収録されているこの「1と0と加藤シゲアキ」の、

(加藤)はい。

(宇多丸)責任編集もし、

(加藤)し

(宇多丸)みたいな。

(加藤)みたいな。今年はずっとこれやってましたね。あははは。

(宇垣)そうでしょうね!

 

装丁について

(宇多丸)めちゃくちゃ装丁も凝っててさ、まず本もかっこいいのよ。

(宇垣)かっこいい、おしゃれ。

(加藤)ありがたい。祖父江慎*2さんが力を

(宇多丸)祖父江慎さんですもんね。

(加藤)祖父江慎さんで祖父江慎さんらしい

(宇多丸)ちょっと待ってよ。祖父江慎さん装丁で本を出すってあーた。

(加藤)いやいやいや。それもだから、どなたがいいですかって言って、祖父江さんとかやってくれたらいいけど

(宇多丸)一応言ってみたみたいな

(加藤)言ってみたらやってくれるとおっしゃってくださって。レイアウトの組み方が凝っちゃって凝っちゃってもう、印刷所が困るみたいな。すごいいい本になりました。

 

映像を撮ることになったきっかけ

(宇多丸)だからとにかく何役も兼ねて今回ね、いろいろこうやってる中で、まずちょっと伺いたい、あの、フィルムをね、その映像作品を作ると、これはどっからきた話なんでしょう。

(加藤)なんか最初に何をじゃあ入れようかっていう打ち合わせをしてて、競作、いろんな同じテーマでいろんな作家さんに書いてもらうとか、対談とかは入れてたんですけど、そのうちの僕のチームのスタッフ、マネージャーがここは集大成なんだから、加藤シゲアキがやってきたことを全部詰め込んでやるべきじゃないかと。戯曲もね、挑戦してそれが入ってるんですけど、脚本もやったことだし、脚本家やって主演もして、もうあの撮っちゃえばいいじゃんって言われて。言われてもできると思わないから、ちょっと考えさせてくださいって言ったんですけど。親しい映画プロデューサーとかいろんな人にいやこんな話が上がっててって言ったら、もうもれなく全員がやった方がいいって言ってくれて、その何人かの方がこう、いろんなチーム紹介するからってこのチームが出来上がり始まって、じゃあやりましょうと。だから自分から手を挙げたというよりはやる、やった方がいいみたいな空気がすごくあってそれが背中を押してもらったっていう感じでしたね。

 

原作と脚本

(宇多丸)スタッフたちはね、だから映像とか一つとってもめちゃくちゃかっこいいから、単純にもうクオリティが高い作品になってると思いますが、もう順番としておもしろいなと思ったのが、最初に例えば短編書いて、それをもとに映像化作るとかその順番かというと逆なのね。

(加藤)本当はそうしたかったんですよね。原作書いてって話だったんですけど、やっぱりすごい痛感したんすけど、映像ってお金がかかり、時間が限られていることがすごくあって、やっぱりそこを、最初3分の作品にしようって話だったんですよ。全然10分くらいになっちゃったんすけど、3分でいくらいくらっていう予算が決まってる中で、できること、あと渋谷っていうテーマがあって、

(宇多丸)渋谷よく出しますよね。やっぱね。

(加藤)今回ピンクとグレーっていうのから、渋谷サーガ*3っていうのをやってたんですけど、やっぱり10周年で原点回帰で、だから渋谷っていうのに今回、そこはもう決まってて、「1と0と加藤シゲアキ」って言うタイトルよりも前に、この「渋谷と1と0と」いうタイトルが決まった

(宇多丸)そっちが先だったんだ

(加藤)はい、こっから引用されたんですけど、で、「渋谷と1と0と」ってタイトルからそれでやっていこう、で、なった順番でした。それでやっぱりこの渋谷でいざ撮影しようってなったときに、全然できないですよ。当たり前ですけど僕最初にこう、駄目もとで渋谷で鬼ごっこしたいって言ったんです。3分の映像って、多分物語あんまり入れられないんで

(宇多丸)もうアクションで

(加藤)アクション走ってるだけとか動画見れるんじゃないかとか言っても渋谷で走れるところ全然なくて

(宇多丸)要はその日本ってねなかなかロケ優しくない。っていうのはね。東京はっていうから

(加藤)すごい痛感して全然駄目で、だから場所と予算と時間っていうのに、限られた中で、僕はこれに関してはギャラないっていうか。うん、予告なので自分でやれば役者も節約できるし(笑)なので

(宇多丸)予算分を

(加藤)そうそう、最初はドッペルゲンガーものにしようってなったんですキャスト役者の費用を減らすっていう。うん。もあって、最初自分で自分をやるっていうところから2役やるっていうところから、どんどんどんどん派生していって、こうなったんですよね。

(宇多丸)だから映像の方が、あの当然制限が大きくなるから、その先にそっちの方をやっといて、小説でイマジネーションを逆に羽ばたかせるみたいな順番のがよかろうみたいな

(加藤)んでそれと作り終えた後に、さっき言ってたその渋谷で鬼ごっこしようって言ってた最初のアイディアとかを、できないことをじゃあ入れようっていうので、当初にあったアイディアを詰め込みつつ、今回のこの物語ともクロスオーバーするような、読めば一応理解度が深まるような原作にはしようっていう感じでしたね。

 

小説と映画的なもの

(宇多丸)全然違うっちゃ違うもんね。展開はちがう。でも何て言うかな、最終的にはさっき言ったゼロイチ創作の話であるっていうか、なんかこう、複数の自分がいて、なんかこう、こっちの小説の話はネタバレになっちゃうかな。とにかく複数の自分がいて、なんかね、あとがきともリンクしてさ、過去の自分にお礼言っておきたいみたいな、おっしゃってたじゃない?何か、そこともリンクして、

(加藤)あー

(宇多丸)物作るっていうことはどの瞬間の自分もいて、で、何かその時自分が何とかしてくれたとか、乗り越えてくれたとか、

(加藤)そうですね

(宇多丸)何かそういうこう、メタファー*4というかな。

(加藤)はい。

(宇多丸)感じになってたって意味では一致してるのかな。

(加藤)そう。そうですね。はい。

(宇多丸)でもこう、メタ構造*5みたいなのお好きだなって言わざるを得ないよね。

(加藤)1人2役になるとどうしてもやっぱメタ化していくんですけど、なんかもう自分でも、何か悲しくなるぐらい同じとこぐるぐるしてるなって今回自分で作ってて

(宇多丸)いいじゃないそれは作風、作家性ってものだから

(加藤)入れ子構造みたいなもの好きではありますし、メタフィクション*6も好きですし、やっぱりどうしても1人二役やっていくってなると、こういう組み合わせになっちゃうなとは思ったんですけど、はい。

(宇多丸)でも今回の映像作品がある意味小説以上に当然のことながらその様は饒舌ではないというか小説言葉を連ねるわけだから、なんていうかな、1番抽象性が当然高い作品になっているおもしろいの。映像って超具体の筈なのに、映像作品の方が抽象的で、小説の方が具体になってんのって面白いなと思って

(加藤)いや僕の中ではだからその映画的って何かっていうことをすごい考えたときに、やっぱりこう小説ではなく映画的ってときに、その抽象的なものに行ってしまうんですよ。うん。

(宇多丸)そう、だから加藤さんの映画感なのかもね。ひょっとしたらね。

(加藤)そうですね。そこに写ってるものが具体的だから、その隙間が結構何て言うんすかね映画的っていうのが僕のこの隙間になってくるんですよね、どうしても。

(宇多丸)わかる。さっき僕があのNOPE*7の説明しようとしたときに、写ってるそのものが難しいものじゃないんだけど、そこに表現されたものは何か抽象的なんだっつって何かそういうものってたしかに映画だよね。なんか映画でしかありえないだから

(加藤)おしぼりが何かとか、そういうことをちゃんと連想できていくようなのは、それはだから、タマフルで培ってきた

(宇垣)あら

(宇多丸)またそういう

(宇垣)言質!言質いただきました!

(宇多丸)おじさんをどういう角度で喜ばせるか、もう10年間で熟知している

(加藤)あはは

(宇多丸)あははは

(宇垣)ありがとうございます

(宇多丸)うれしいですけどね、もちろんそういうのね。

(加藤)そういう読み方というか、いろんな言葉がないからこそいろんなものを含めるというか、はい。

 

なぜリネンサプライを使ったのか

(宇多丸)ここでそのリネンサプライ、例えばおしぼりだとか、毛布をこう洗うとか、何て言うの裏方としてやってるこういうお仕事、あんまりどういうお仕事なのかってあんまり表面出ないようなさ、なんでリネンサプライのお仕事っていうのは

(加藤)なんか10年くらい作家やってきて、ようやく芽生えてきたのが社会性を作品に入れていくというか、そういうことがなんとなく起きてきて、やっぱり今起きてることは、フィクションであんまりこう離して書きたかったんですけど。

コロナ禍を全作家が今多分試されてるんすけど、コロナ禍をどう描いていくかっていうところが、やっぱりこうみんな躊躇してる中で、でもなんか10年ぐらい経ってそこを避けてるのもなんか嫌だなって思って、コロナ禍で、起きたことに物語を自分で描けるのは、長編だと少しそれが説明的なってしまうかもしれないけど、短編だからできるんじゃないかっていって、作家としての責任っていうみたいなものもちょっとあって。

コロナ禍で起きた問題っていうところで、リネンサプライっていうのをその時に知ってそれまで知らなかったことが恥ずかしながら知らなかったんすけど。おしぼりなどがどういうふうに成り立っているかを、おしぼりやホテルのシーツやタオルなどが、そういう業者で回していってるっていうことがあって。

そのときにコロナ禍で補填、補償が出なかったんですよね。倒産がすごい相次いで、飲食店は補償がすごく出たんですけど、でもそこに補償が出ないっていうことがどうしてもこの、ある種はぐれていくというかあぶれてしまった人たちっていう職業の人たちっていうところに、すごく何か、痛い、なんかこう、苦しくなって、何かそういうものを描くことも、特に映画とか小説ができることの一つだなという。責任もちょっとあって、これそういう部分にスポットを当ててあんまりこう、映画とかあの映像の方ではそのコロナのことを描いてないんですけど、でもマスクしてるっていうこととかそういうふうな部分でこう、リネンサプライっていうところの思いを馳せて作品を作りたかったのは、あります。

(宇多丸)おもしろいね。同時に僕はそのリネンサプライと仕事の何て言うの世の中の僕らが享受している表面上の清潔みたいな、表面上の清潔を保つための、その下請けみたいな。まさにおっしゃってた、普通はやっぱあんまり意識しないしっていうこうなんか社会の仕組み全体のメタファーっていうかさ、何も考えずに享受してるけどっていうものを全体のなんかあれになってる世の中の仕組み全体の何か例えになってるかなと。

(加藤)そうですね。限りなくクリーニング屋に近いんですけど、直接消費者と会わないから

(宇多丸)そうそうそうそう。

(加藤)そういうところで起きてることって本当に大きな問題だけど知られてないっていうのは、何かそこにスポットを当てたかったんですよね。

(宇多丸)なんかだからそうもちろん具象としてのメインなんていうかな、その社会問題の一つ集約点としてのリネンサプライってのも面白いし、僕だから、メタファーとしてすげえいいとこ選んできたなっていうか、しかも他の人が使ってないから

(加藤)そうっすね。やってなかったってのもすごいありますね

(宇多丸)ナイス。目の付け所もいいですし

(加藤)なんか本当映画とか小説ってこう、何でもない話だけどそこに何かフォーカスを当てていくと物語が感じていけるっていう。

 

リファレンス*8について

(宇多丸)こういう仕事があるんだだけで映画になるもんね。そういう意味である物語になるっていうか。僕とかやっぱ気になるのは加藤さんすごく映画とか、いろんな作品見てるから、なんかリファランスというかですね。何かあるんですか参照作品。

(加藤)あんまでも本当にスタッフが優秀で何か僕が届けるよりも割とどんどんいい絵を切ってくれたんであんまりこう、直接リファレンスしなかったんだけど

(宇多丸)逆に監督っぽいよそれ、すごい。あはは。

(加藤)撮影監督の人がすごい上手で若い子なんですけど、

(宇多丸)めちゃくちゃいい。絵かっこよかった。

(加藤)絵かっこよかったですね。なんで、最初僕だからやっぱり予算もないしテンポゆっくりで見せていくとしたら、ホン・サンスをずっと思ってたんですよ。


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なんか何か会話劇じゃないけど、切り取り方みたいなのを引き絵でゆっくりせていくみたいなんでもいいかなって思ったりしてたんすけど、だんだんとその話してるうちに、衣装の方向性とかで、「パターソン」の方が近いかなっていうのでジム・ジャームッシュの「パターソン」あれもちょっと詩書いたりする話だったりとか


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(宇多丸)しかも日々の繰り返しのね、ルーティンの中で。創作活動していく。

(加藤)そんな「パターソン」の中の1話にありそうみたいな、何曜日かにありそうみたいな、イメージとか

(宇多丸)プラス既存の文学からの引用があるというか、

(加藤)そうです。

(宇多丸)梶井基次郎の「檸檬*9があって

(加藤)それはすごいだから、なんか、重なるなっていうのとか、そうっすね。あとでもどうしても絵が「パターソン」みたいに日本の絵だととならないんで、

(宇多丸)あれよりダークだよねちょっとノアール*10的じゃない。

(加藤)そう、ノアールの時に、どっちかと言うと「鵞鳥湖の夜」とか


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「薄氷の殺人」の監督のをイメージとかをしてたんですけど


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でも結局言わなかったですね。僕の頭にはあの絵の感じかなとかあったけど、ほとんどなかった。それがよかった。みんな映画のリテラシーが多分高くて、今っぽい色味をグレーディング*11もほとんどやってくれましたし、音楽も僕の頭の中にはずっとなんか、「バードマン あるいは」のイメージがあって


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それも、僕は思ってたけどあえて言わなかったんですよ。まず作ってほしくて。ってやったら、リファレンスにその曲があって、みんな解釈ができてるってことは、これはあんまり言うよりは、うまくまわっていくなーみたいな。

(宇多丸)それだから加藤組として機能してるってことじゃんね。

(加藤)いやいや、本当に優秀なスタッフさんが集まってくれたっていう。

(宇多丸)エースが来てくれたんでしょうけど

(加藤)はい、そうなんです

(宇多丸)いやでもなんかそこにちゃんと任せることができるのも僕監督の仕事の能力のうちだと思うから、

(加藤)いやいや

(宇多丸)さすがです。いろんな現場ね、もちろん映画なのみならずスタッフが関わってきて絵を作るって現場をもちろん山ほど関われてきてるからってのもあるでしょうけど。いやいや、なんか見事よ。なんか、それは。

(加藤)いやいやいやいや

(宇多丸)だし、すごい作家加藤シゲアキの作品だから。めちゃくちゃ。

(加藤)そうですね(笑)

(宇多丸)ちなみにさ、すげーこう幼稚な質問としては、あのドッペルゲンガー2人出るとって、あれってどうしてるの。合成なの?それとも

(加藤)合成です合成です。1回目の方ですよね。あれは合成ですね。

(宇多丸)それもうまいよ。

(加藤)あれはでも大変でした。それがだから「バードマンあるいは」とか、

(宇多丸)あー

(加藤)繋ぎのリファレンスもあったんですけど、ワンカット風にみせていくっていうのは、合成もすごい良くなってるのもありますし、でもやっぱりその場で編集の人来てもらって、これなら繋がるかっていうシミュレーション。それはもうカメラマンの腕ですよね。ズームとかの引き方をおんなじにしないとやっぱずれていく

(宇多丸)ねー

(宇垣)そうか

(宇多丸)いま、あんなことできんだと思って

(加藤)いやでも最後のほんとに全部編集も全部立ち会ってやったんで、こうやってなってくんだっていうのを初めて知りましたね。

 

映像作品に携わることについて

(宇多丸)映像作品今後もやっていきたいとかなりました?

(加藤)いやー、そうですねー。やりたいなとは

(宇多丸)話来ると思うけど、ここまで出来ちゃったら

(加藤)でもなんか、あの、面白いかどうか置いておいて、2時間撮れるなと思いました。

(宇多丸)おー

(加藤)撮影2日間で編集これくらいかってこといったときに、撮れるなとは思いましたけど、

(宇多丸)例えば自作の映像化みたいなのって、ビジョンとしてはどうなの。むしろそれとも今回の経験でやっぱ絵と字は違うじゃないけど、

(加藤)いやいや。おもしろかったですね。みんなで作っていく、その違っていくところが面白いとは思うし、どっちかっていうとフラストレーションとしては、自分の書いた作品が違う解釈で作られることのほうがやっぱりつらいですよね。

(宇多丸)まあ、でもね、避けれないけどねある程度はね。

(加藤)そうすね、でもそれがどっちがいいのかなって思って今までやってこなかったんすけど、やっぱり向こうで脚本家がショーランナー*12をやるケースが増えてるっていうのはやっぱり脚本家が一番物事に対しての、理解度、解釈が深いからやっぱりそうなっていくんじゃないかなっていう気もしていると、どこまでやれるかわかんないすけどショーランナーやりたいなっていう気持ちはありますね。

(宇多丸)でも長くなってくると今度はさ、主演も兼ねることの負担っていう

(加藤)いや、出るのは別に、出んのはいい

(宇多丸)そっちはいいんだ!それはそうか、すいませんこれ。おみそれしました。仮にもNEWSの方に失礼しました(笑)

(加藤)いやいやいや、すみませんなんか、お金がないから出たって感じなんで(笑)何かどっちかっていうと大学生の映画撮ってるみたいな。

(宇多丸)準備をさ、しなきゃいけないと思って大変だろうからね。

(加藤)それはでも大変でした。やっぱりセリフとかの緊張感。その緊張感は楽しかったですけどね。役者としての何か役者としての勉強にもすごい実はなりましたね。

(宇多丸)しかもね、当然ながら通常のお仕事は全部されながらだもんね。

(加藤)そう、そうですね。

(宇多丸)元々複数の仕事をやってるのにさ、

(宇垣)今、ぞっとしたなんか

(加藤)ぞっとしましたよね。この期間舞台やってたんすよね。舞台の稽古やってて、本番の間のその、劇場入りの建て込みの2日間でやったんですけども、それは結構ハードスケジュールでした。ここで雨が降った日には全部ポシャるみたいな。

(宇垣)そうですよね。

(加藤)そういう緊張感がすごいありましたね。

(宇多丸)へー、いや、でもなんか、間違いなくだからちょうどこの10年で一区切りつけて、次の何か、ディケードに向けて何か一歩踏むとしたらもうすごくいいブースターになってるっていうか、

(加藤)いやでも楽しかったです。まだ挑戦してない、結構本当にいろいろやらせてもらってきたんですけど、まだやってないことあるんだと思って。

 

小説を10年書いてみて

(宇多丸)いやあ、すごいですね。何か本、小説を1個書いたことから、こんなにビッグバンが起こるかじゃないけど、なんかこの振り返っていろいろ言ってるの読むと、そう思えば思えば遠くに来たもんだじゃないけど、

(加藤)そうですね、振り返れば。始まりはそれこそ多分タマフルで映画の方興味出て、映画脚本に興味出て、映画作りたかったけど、映画お金かかるから、小説がいいよなってなったのもすごいあって、10年経ったらもう小説のことしかあんま考えてなかったですけど、こういうタイミングで映画撮りなよっていう僕の友達とかでも僕は映画好きなことを知ってくれてたり、それこそタマフルを聞いてた友達とかたまにいて、いや絶対好きなのはやった方がいいよみたいなことを言われて、なんか10年前の夢が今叶うみたいな。今見てる夢というよりは今はそれどころじゃなかったんだけど10年前の夢が今叶うとかは、エモいな。みたいな。

(宇多丸)だからまさに、だからずっとバトンを渡してくれてた自分じゃないけど、

(加藤)そうですね。

(宇多丸)なんかそんな感じでしょうね。

(加藤)長く続けてくると、物語がそこも生まれてくるな。

(宇多丸)いや、ってことですいませんちょっとお時間きてしまいましたので、すいませんね、時間が短くてですね。

(加藤)しゃべ…てしまった

(宇多丸)いやいや、ばっちりばっちり。素晴らしかった。いうことで改めてご紹介しておきましょう。

(宇垣)はい、改めて今夜紹介したショートフィルム「渋谷と1と0と」は、YouTube_KADOKAWAオフィシャルチャンネルで見られます。そして作家生活10周年を記念した書籍「1と0と加藤シゲアキ」今週の金曜日9月30日に、KADOKAWAより税込1980円で発売されます。

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(宇多丸)はい、これもブツとしてすごいんでみなさんね。祖父江慎さんの装丁もぜひ

(加藤)ブツとして(笑)

(宇多丸)楽しんでいただきたいんですが

(宇垣)実質タダですね

 

10月5日(水)アトロク代打パーソナリティ!

(宇多丸)ここでですね。ちょっとすいませんなんかついつい引き止めたくてこの時間を伸ばしたくて、こんな時間になってしまったんですが大事なお話がありまして加藤さんん!

(加藤)はい

(宇多丸)私ね、来週10月5日水曜日にちょっと内視鏡大腸検査をしたときに、別にそんな重くないんすよ、ポリープがポコっとあって、もうこれちゃんと取っちゃった方いいよっていうんで、ポリープ通称ケツメンテっていうのをやってくるんですけども、ちょっとその日だけ水曜をだけ休みたいんですよ。10月5日。なので、加藤さんよろしく。

(加藤)あはははは

(宇垣)軽いよ!軽すぎるよ!

(加藤)軽っ!10年のつきあいだと軽いっすね!

(宇多丸)ちょっと、番組丸々実はパーソナリティちょっとですね。

(加藤)丸々やっていいんですか。本当に。

(宇多丸)お願いします。

(宇垣)すごいことですね。

(加藤)いやー怖い。アトロクファンからこれもう

(宇多丸)大丈夫です

(加藤)卵投げられる

(宇多丸)私が帰って来づらいぐらい良いのはやめてください

(加藤)あははは

(宇多丸)あと加藤さんすいませんお知らせごとぜひ。

(加藤)なんかそうっすねでもそんなないんすけど、スティードというエッセイ「できることならスティード」でというエッセイが出たのが、11月7日に文庫しますので、そちらの方もぜひ

(宇多丸)10月5日にねたっぷり告知もできますからこれまたね

(加藤)あはは、たしかに、はい。そうですね。

(宇多丸)ということで、ちょっと申し訳ございませんが、あの加藤さんよろしくお願いします

(加藤)はい!がんばります。

(宇多丸)10月5日水曜日来週も代打パーソナリティお願いします!ってことでNEWSメンバーで作家の加藤シゲアキさんでしたありがとうございました。

(加藤)(宇垣)ありがとうございました。

(宇多丸)安心して(放送切れる)

 

 

宇多丸さんお大事になさってください。